「二人とも優勝おめでとう!特にヒマリ君、まさかのトリプルコーク、ビックリだったよ。あれは間違いなく公式戦を含めて大会一番のジャンプだった」
MCのケータさんがヒマリにそう話し掛け、多くの拍手と同意の声が寄せられた。
『ヒマリが飛んだ!あんなに激しく落ちて、もう飛べないと思ったのに』
オコジョの子が言った。
「見せてあげるよ、最高の景色を!」
ヒマリはそう言って、ビックキッカーに向かってスタートを切った。
「冗談ばっかりでもないよ。ハートは2個分だし」
ヒマリはすました顔をした。
「どうしてあんなジャンプになったんだ?」
ユウヤが歩きながら訊ねた。
着地エリアの端からヒマリのジャンプを見ていたユウヤとハルトは、急いでヒマリに駆け寄って行った。
ヒマリは、スロープ状のランディングゾーンと呼ばれる部分から1m以上も越えて着地し、衝撃で転がって気を失っていた。そして夢を見ていた。
ヒマリのジャンプはスロープ部分を完全に超え、平らな部分まで届いてしまっていた。水の張ってあるプールへの高飛び込みが、地面への飛び降りに変わってしまうようなものだった。
ミドルキッカーのスタート位置に立ったヒマリは、何も考えられず、ただ遠くへ飛びたかった。
ヒマリがスタートをした。
ミコトが飛び終わった。ミコトは後ろ向きで滑ってから飛ぶスイッチ540にグラブを加え、予選より点を上げて77点を出した。